第369回定例会での活動状況

2019年9月12日に14回目となる一般質問に臨みました。
今回のテーマは下記の通りです。

1.公民連携の取り組み強化について
2.高齢社会のまちづくりについて
3.県政の諸課題について

【議事録】

/////以下質問原稿/////
 自由民主党・県民会議の庄田圭佑でございます。議長のお許しをいただきましたので、今任期最後の一般質問に臨ませていただきます。
 まず初めに、これまで継続して質問ができたのも先輩議員の皆様のお力添えのおかげと心から感謝申し上げる次第でございます。また、県民から寄せられた課題や御意見を議会の場で執行部にぶつけ、微力ながら県民の皆様のために働かせていただけたことを誇りに思えた四年間でもありました。
 それでは、通告に従いまして大綱三点にわたり順次質問してまいります。
 まず初めに大綱一点目、公民連携の取り組み強化についてお伺いをいたします。
 公民連携というワードはいかにも使い古された印象も受けますが、その歴史をひもとくと意外と浅く一九八〇年代の中曽根内閣にあるようです。同内閣では民活法、リゾート法などを契機に官民双方のメリットを生かすとして、第三セクターが全国至るところで設立されました。しかし、バブル崩壊とともに経営難が表面化し大きな問題となったことは記憶に新しいところであります。その後、一九九九年にはPFI法が施行され、二〇〇三年には地方自治法の一部改正を受け指定管理者制度が制定されたほか、二〇一一年六月の改正PFI法により公共施設等運営権いわゆるコンセッション方式が導入され、仙台空港民営化などに活用されております。今日ではバブル期の第三セクターの負のイメージを乗り越え、民間企業の新たな事業機会の創出として公民連携が一役買っていると言ってもよい状況にあります。この背景には全国的な傾向である人口減少、少子高齢社会の急速な進行が要因として考えられます。今後もこの傾向が続けば、宮城県全体の経済規模縮小に限らず、税収入の減少など長期的な財政への影響や超高齢化社会による社会保障費の増大、公共施設の更新費用などによって現在の行政サービスの低下を余儀なくされることは明らかです。大きな公共、大きな政府である福祉国家を目指しては財政破綻の問題があります。他方、小さな公共、小さな政府では県民は納得しないでしょう。このすき間を埋めるのが大きな公共、小さな政府の存在、つまり公民連携の強化であります。この点、村井知事はことしの仕事始めの挨拶で「幅広い分野で民間と積極的、徹底的に連携し、民間企業や大学はアイデアが豊富であります。行政だけでは考えつかないような新しい取り組みが生まれてくるでしょう。積極的に交流してプラスアルファを考えてほしいと思います。」と述べられており、本県でも公民連携の一層の強化が期待されるところであります。では、本県におけるこれまでの公民連携の実績と各事業における行政コスト削減額などの具体的な成果についてお伺いをいたします。
 また、今後予定している公民連携の取り組みについてお示しください。
 常日ごろさまざまな企業団体から、県と連携を図りたいがどこの部署を訪ねればよいかわからない。県の名義後援を受けたいがどうすればよいかわからないといった相談を多くいただいております。このような課題の解決策として、公民連携をワンストップで提供する専門の窓口を設置する必要性を感じております。大阪府では二〇一五年四月に公民連携をワンストップで支援する公民連携戦略デスクを全国に先駆けて設置されました。背景には企業・大学からの府と幅広く連携したいが、どこに連絡したらよいかわからないといった窓口の明確化を求める声に加えて、府庁内からも施策立案に当たって民間との連携を積極的に進めたいので企業・大学との橋渡しをしてほしいという声があったとのことです。私が伺った際、府の担当者からは民間からの相談・提案を各担当セクションにつなぐ役割、庁内から公民連携の提案を受け民間と調整する役割、そのほかにも積極的な連携提案を民間や庁内に対して行っているとのお話をお聞きいたしました。こうした活動の成果もあってか、二〇一七年度は年間二百六十件の公民連携による取り組みが実現し、仮にこれらを大阪府が直接実施した場合に必要となる金額を試算したところ二億三千万円にも上るそうです。大阪府以外の自治体でも横浜市の共創フロント、神戸市の公民連携推進室など全国主要自治体では公民連携の専門窓口が設置されてきております。本県においても公民連携をワンストップで提供し、攻めの公民連携を推し進める専門の窓口を設置すべきです。知事の御所見をお伺いいたします。
 先日企業経営者の方から、宮城県のいじめや不登校、低学力を何とかしたいと思い、御自身が経営する保育園で非認知能力、やる気とか最後までやり抜く気概、リーダーシップの力、協調性などでございますけれども、この非認知能力を高めるプログラムを開発しそれを提供したいが、ただやるだけではもったいないので卒園後も長期で追跡調査してエビデンスをとりたい。県や大学と連携できないかと御相談をいただきました。早速大学につなぎましたが、大学からは、研究価値のある内容だが研究期間の長さや予算の確保が難しいというお話、また県にも確認しましたが、長期で予算が確保されている国の事業もなく実施は厳しいとの回答でした。私は昨年十一月定例会でいじめや不登校、低学力、運動能力の低さなど子供たちを取り巻く諸課題の解決には、部局横断での課題分析と調査を検討すべきと質問いたしました。この問題意識には国が推進しているエビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング、EBPMがあります。これはこれからの自治体の政策立案には科学的根拠が求められるということです。いじめや不登校、低学力などの問題解決のために必要な科学的根拠を解明するには、問題の性質上、長期の追跡調査が必須です。また、このような調査のためには一定規模かつ長期のデータ集積のため行政の協力が必要です。時間や予算を理由に行政が調査自体または調査への協力に手をこまねいている限り問題解決は見込めません。これまで本県でのいじめや不登校、低学力などの問題は部署ごとでの取り組みはありますが、先ほどの経営者の相談内容のように長期的視点、そして私が申し上げた部局横断による取り組みを政策に反映させていく視点が欠けているように思えてなりません。こうした分野こそ公民連携で時間をかけて取り組むべき課題です。以前私が質問で触れたとおり、既に就学前教育の費用対効果の高さがアメリカのペリー幼稚園プログラムなどの研究から示されております。このことから未就学児に対する教育施策を提供することはEBPMの要求を満たしていると考えます。そこで、我が県の子供を取り巻く諸課題解決に向け、行政の対応が不十分な分野の課題解決に挑戦しようとしている民間企業との長期的な連携も必要と考えます。長期的な予算確保も含めて知事と教育長の御所見をお伺いいたします。
 大綱二点目、高齢社会のまちづくりについてお伺いいたします。
 先ごろ本県がまとめた高齢者人口調査によると、高齢者人口は六十二万九千五百五十九人で、本県の総人口が〇・四%減少した一方で高齢者人口は一・六%増加し、高齢化率については二七・五%と、二〇一八年比で〇・六ポイント上昇いたしました。また、二十二市町が高齢化率三〇%以上となり、人口減少、少子高齢社会を改めて感じさせる結果でありました。国立社会保障・人口問題研究所によれば、六十五歳以上の老年人口は二〇一五年現在の三千三百八十七万人から、第二次ベビーブーム世代が老年人口に入った後の二〇四二年にピークを迎え、三千九百三十五万人に上ると予測されております。二〇四二年まで高齢者がふえ続けることに鑑みれば、高齢社会に対応したまちづくりを考えていかなければならないことは言うまでもありません。先日も、県民の方から横断歩道について、高齢者の方が横断歩道を渡ろうにも、青信号の点灯時間が短くて渡り切れないから何とかしてほしいとの御要望をいただきました。過去の論文などを調べると、九割以上の横断歩道を青信号で渡り切るには、秒速一メートルの歩行速度を確保しなければならないということでした。元気な子供や大人ならまだしも、高齢者や障害者であれば歩行速度も必然的に遅くなり、横断歩道の青信号の時間確保は安全対策上も必要なことであります。担当課に伺ったところ、横断歩道の青信号点灯時間の延長要望があれば個別に対応しているとのことでありました。これまでも視覚障害者用付加装置や高齢者等感応化などの交通バリアフリー化に取り組まれておりますが、今後の高齢者人口の増加を踏まえると、これまでのような都度対応ではなく全県的な対策が必要と考えます。県警として今後の対応についてどのように考えているのかお伺いをいたします。
 我が県における二〇一八年中の歩行者事故の発生特徴としては、死傷者の約六割が道路横断中の事故であること、交差点での事故発生が約半数を占めていること、死傷者の三割近くを高齢者が占めていることです。加えて歩行者の事故総数八百二十件中、約四割の三百二十件が横断歩道上及びその付近の人身交通事故が占める結果となっています。こうした状況からも横断歩道の安全対策を講じる必要があります。例えば愛知県では車道と直角に引かれた横断歩道にかわり、車道に鋭角に横切る横断歩道が県内三十カ所以上に導入されております。この横断歩道は右左折するドライバーから見て横断歩道が右奥から左手前に斜めに設置されているため、一般的な横断歩道よりも安全確認の範囲が狭くて済むものであります。実際に導入された交差点では、導入前と比較して人身事故件数が三分の一程度に減少するなどの効果があったとのことです。また高齢ドライバーは視野が狭まり歩行者の発見がおくれがちになるため、斜め横断歩道の導入は高齢ドライバーによる事故防止にもつながります。これまで本県では道路構造令や交通規制基準にのっとって横断歩道を設置しているとのことですが、道路構造令などで推奨されている道路に直角に横断歩道を設置するよりも、愛知県の事例にならい、本県においても斜め横断歩道の設置を進めていくべきと考えます。警察本部長の御所見をお伺いいたします。
 さて、高齢社会における公営住宅のあり方にも目を向ける必要があります。国土交通省の調査では二〇一六年度時点で公営住宅に入居している六十歳以上の高齢者世帯の割合は六割となっており、公営住宅における高齢化対策が急務と言えます。幸い本県の県営住宅の高齢者世帯割合は二〇一八年データでは四四・五%ですが、今後上昇していくことは明らかです。そもそも公営住宅は低所得者、高齢者、障害者、ひとり親世帯など住宅の確保に特に配慮を要する方の居住安定を確保する、住宅セーフティーネットとしての機能を有しており、生活の安定と社会福祉の増進に寄与することが求められております。しかし、実際の県営住宅の環境は決して入居者に優しい環境とは言いがたいのが現実ではないでしょうか。実際にこれまでも何度も県営住宅に入居している方から、機能しない自治会の現状や住宅供給公社の管理に対する厳しいお言葉をいただいてきました。一例を挙げると、高齢者やシングルマザー世帯が多く、敷地の環境整備を実施するにも協力者がいない。共益費や自治会費を集めるにも階段の上りおりが大変などであります。全ての県営住宅がこうした問題があるとは言えないまでも、県営住宅には住宅の確保に特に配慮を要する方々が多く入居されており、一般の住宅地同様の町内会活動を実施するにはいささか困難な背景を抱えております。更なる高齢社会の進展や入居者属性の特殊性を鑑みると、県営住宅における自治会の必要性を含めた今後のあり方を検討していくべきと考えます。知事の御所見をお伺いいたします。
 仮に自治会のあり方が現状維持という考え方になったとしても、家賃は公社に支払い、共益費の徴収は自治会任せとなっている現状はかえていく必要があると考えます。エレベーターのない建物で共益費を徴収する大変さや、自治会に加入しない世帯の共益費が未収となったりするケースがあると入居者の方からお話も伺っております。他県の例でも京都府や大阪府、神戸市や高知市では条例の整備を行った上で家賃に合わせて共益費を徴収しているようです。本県でも家賃とあわせて共益費を徴収できるように条例を整備し、自治会の負担を少しでも減らしていく取り組みも必要と考えます。知事の御所見をお伺いいたします。
 現在、県営住宅の管理については、宮城県住宅供給公社が指定管理者及び管理代行業務を受託しております。この背景には、管理主体に入居者決定などの権限を付与することで、機動的、効率的な県営住宅の管理が可能になるという点があります。一方で全国的に公営住宅の民間活用・広域管理が進んでおります。例えば大阪府では供給公社のみならず多くの民間事業者が指定管理者として建物の管理業務を受託し、経費削減にも一定の効果を上げております。先ほどまでは自治会の負担軽減について質問をさせていただきましたが、仮に自治会の負担を軽減した分、行政がその分を負担することとなれば、草刈りなどの周辺環境整備は現在よりもコスト高になることは容易に想像ができます。受益者負担の原則を考えれば、ふえたコストを税金で負担するというのはなかなか現実的ではないでしょう。さきに述べたとおり民間事業者に管理業務を委託し、建物の維持管理費が削減できれば、その削減分を使って周辺環境整備に充てることも可能です。そこで、自治会の負担軽減と公民連携という視点から、今後県営住宅の民間事業者への委託も具体的に考えていく必要があると考えます。知事の御所見をお伺いいたします。
 大綱三点目、県政の諸課題についてお伺いいたします。
 初めに観光振興についてお伺いをいたします。
 我が国を訪れる訪日外客数は、ことし七月末時点で一千九百六十二万人と昨年比四・八%の増加となっております。また今月六日に東北運輸局が発表したことし上半期の東北の外国人宿泊者数は前年比二〇%の増加でした。特に本県の宿泊者数は二十三万六千六百五十人と前年比四六%増で全国トップの伸び率でありました。この結果については、これまでの県のさまざまな取り組みが成果に結びついたものと評価しているところであります。昨年九月には、滞在型観光を推進する点で気仙沼・唐桑コース、奥松島コースの二つのコースから成る、韓国版トレッキングコースのオルレが導入されました。今月二十八日には、大崎・鳴子温泉コースも新たに開設される予定となっており、本県での滞在型観光がますます推進され、観光消費額の伸びも期待しているところでもあります。また、県が後援している作並温泉をスタートし、青根温泉、遠刈田温泉を経由し、秋保温泉をゴールとするみやぎ湯めぐりウルトラマラソンもことしは全国から二百六十名程度御参加いただくとともに、他県から大会を視察に来られる方もいらっしゃるなど、滞在型観光推進に一定の役割を果たしているところでもあります。しかし滞在型観光の推進と言っても本県のどこで何ができるのか、アクティビティーについて観光客へしっかりと周知を図ることが必要と考えます。そのためにはOTAアプリないしはOTAサイトをしっかりと活用することが重要です。なぜなら、ここ数年でOTAアプリダウンロード数が激増し、それに合わせてOTAアプリのセッション数も大幅に伸びてきており、これを利用する旅行者が増加しているからであります。例えばアクティビティージャパンでは、宮城県のアクティビティー登録数は九十八件にとどまる一方で、人口規模が近い京都府では六百七十三件、長野県では三百八十二件、インバウンドが多く訪れる沖縄県では何と三千九百六十三件の登録がありました。他県に劣る本県の状況を見れば、滞在型観光推進にはOTAアプリあるいはOTAサイトにアクティビティーを数多く登録すべきと考えます。今後の対応策についてお伺いいたします。
 さて、私の地元の泉ヶ岳では泉が岳自然の家が二〇〇八年三月に廃止され、二〇一八年五月末に同施設の解体工事が完了した後は砕石敷きとなったままの状態です。地元民からは、仙台市西部地区の活性化には自然の家跡地の有効活用が必要との声もいただいており、西部地区活性化の起爆剤として跡地の利活用を強く望むところであります。ところが、担当課にこれまでの利用状況を伺ったところ、仙台市の申し出に応じて冬期間のノルディックスキーのコースや、イベントの駐車場として貸し付けているとのことでした。このような利用状況は西部地区の活性化に十分な役割を果たしているとは言いがたいものです。また、利活用したくても同敷地に係る仙台市の条例による規制が厳しく、公益性が高く当該区域以外で実施が困難な施設の整備でなければ建築物の新築等の開発が原則不可能となっております。そこで、このような現状を打開するため条例の権限者たる仙台市や地元民の代表者を構成員とした検討会を設け、今後の利活用を具体的に検討すべきと考えます。知事の御所見をお伺いいたします。
 早くも東日本大震災から八年半が経過し、復興もラストスパートの段階に差しかかっております。改めて、あの日の惨禍や教訓を後世にしっかりと伝えていくことが我々に課された使命と感じているところです。後世へしっかりと伝えていくという点では、各市町村一カ所までを対象に、震災遺構保存のための必要な初期費用を復興交付金で措置する支援策が二〇一三年十一月に復興庁より示されました。本県では現在六カ所がその対象となっています。ところが震災遺構の維持管理費についてはそもそも支援対象外となっており、震災遺構の維持について不安を抱く市町も多く、今後の維持については入館料や寄附、一般財源に頼らざるを得ない状況であります。震災の惨禍を後世にしっかり伝えるには震災遺構の維持管理費について予算を確保することが必要です。今後の震災遺構の維持管理費の確保について、国に対して予算要望を求めることも必要と考えます。知事の御所見をお伺いいたします。
 また、震災遺構の維持管理費に現在検討している観光振興財源の充当を検討することも必要と考えます。知事の御所見をお伺いいたします。
 最後に、七北田川の河川整備計画についてお伺いいたします。
 二〇一五年九月十一日に発生した関東・東北豪雨では、私の地元、七北田川上流域が氾濫し、甚大な被害を河川沿川にもたらしました。その後、二〇一六年六月には上流域が水位周知河川に指定されるとともに、二級河川七北田川水系河川整備基本方針が示されました。その後、二〇一八年一月には二級河川七北田川水系河川整備計画が策定され、計画策定からおおむね三十年の間に河川を整備することとなっております。その後、ことし三月末をめどに上流域の具体的な整備計画を公表すると伺っておりましたが、現段階においても公表されておりません。現在、七北田川水系河川整備学識者会議が開催され、具体的な整備計画を検討中と伺っておりますが、その整備計画の具体的な公表時期と事業着手時期についてお伺いをいたします。
 また、事業着手後の整備の進め方について、下流域の赤生津大橋から上流域に向かって順次工事に入るのか、それとも四年前の豪雨で最初に越水した箇所や人家が連檐している馬橋周辺などから工事に着手するのか、具体的な整備の進め方について現段階でわかる範囲でお答えください。
 以上で壇上からの質問といたします。御清聴ありがとうございました。